岡山県

西粟倉

にしあわくら

10年目の今、改めて百年の森林構想を振り返る。「私と百森」特集、2017年から始まります。

「移住者がいっぱい」「林業再生に取り組んでいる」「薪ボイラーを村の温泉で使っている」。地方の暮らしや地域おこしなどのキーワードが気になる人にとって、西粟倉は有名な村だ。成功例と取り沙汰されることも多い。今の西粟倉の状況をつくった要因はもちろん幾多もあるが、それらの根幹になるのが「百年の森林構想」だ。2008年に掲げられた村をつらぬく目標が、現在の西粟倉村に果たした役割は間違いなく大きい。
だけど、そもそも「百年の森林構想」ってなんだろう。100年っていつのこと? 具体的に何を目指しているの? 誰が、何をやっているの? 村の威信をかけた大きな挑戦だからこそ、語られてこなかったことを、今知っておく必要があるのではないだろうか。西粟倉で暮らす、西粟倉の森で働く、西粟倉の木に触れる、さまざまな人にとっての「百年の森林構想」。素直な語りから、西粟倉の森の来し方を知り、これからを思い描いてみたい。

 

「私と百森」特集コンテンツ一覧

プロローグ そもそも「百年の森林構想」ってなんだろう

インタビュー 百年の森林構想は、村をどう変えたのか(全3回)
vol.01 「儲からないし課題もある。でも百森の仕事を続けて山を良くしたい」西粟倉初のベンチャー・木薫
vol.02 「次のステップは、新しい森のデザイン」地権者交渉を8年進めてきた役場職員・横江さん
vol.03 「時代の変化を受け入れる苦悩と、変わらぬ想い」山で働いて40年。元森林組合・福島さん

インタビュー 森を育てる山主たちの想い(全3回)
vol.04 「木が安くなっても、山は宝。見捨てるのは忍びない」山主歴65年以上・平田さん
vol.05 「いつかは人の手に委ねざるを得ないとしても」山仕事が身近な最後の世代、萩原さんの葛藤
vol.06 「林業を見限るな」300年の森を目指す、新田一男さん

インタビュー 大事なお客様へ、木を届ける(全3回)
vol.07
「百年の森林管理センター(仮)に託す夢」林野庁からの出向任期を終えた、長井美緒さん
vol.08 夫婦それぞれ、ふるさとの森に向き合う(前編) 夫・金田洋一さんの話
vol.08夫婦それぞれ、ふるさとの森に向き合う(後編)妻・金田好代さんの話
vol.09 「百森」があったから戻れた、母の出身地。 がらんどうの工場から、売り上げ3億円超までの道のり

インタビュー 森から広がり成長していく村の産業(全2回) vol.09
vol.10 「再エネで、村のエネルギー自給率を100%に」西粟倉村役場・白籏佳三さん
vol.11 「温泉宿があれば、森に関わる人を増やせる」株式会社村楽エナジー・井筒耕平さん。

インタビュー 山を受け継ぐことで見える未来(全3回)
vol.12 百年の森を伝える教育
西粟倉の子どもが、未来へ森を継いでいくには・関正治教育長

vol.13 仕組みの再構築に向けて、株式会社百森が始動
vol.14 「美しい山を後世に残すために、今を生きる人間がやるべきことをやるだけ。」株式会社青林・青木昭浩さん

対談  「百年の森林」から、人の幸せへ 5月公開予定

 

プロローグ:そもそも「百年の森林構想」ってなんだろう

これまでもさまざまな角度から語られてきた「百年の森構想(通称:百森)」。西粟倉発の自前メディア「グルグルリパブリック(旧:ニシアワー)」での発信はもちろん、国内外からの取材も絶えない。この構想が掲げられてから8年の間に、よくも悪くも、主に外部の目によって百森像が形成されてきた部分がある。これからのインタビューでたどる、水面下の試行錯誤、ジタバタの上に成り立っていた勇姿が発信されてきたのだ。

ここでは、これまでメディアに取り上げられてきた「百年の森林構想」の姿を紹介する。

西粟倉村発、「百年の森林構想」

百年の森林構想

グルグルリパブリックで読む

「元・西粟倉村長・地域をあきらめないという意思表示。いま振り返る『百年の森林構想』とは」

「西粟倉村にある、一番の地域資源は「心」。心産業の議論から、この村のチャレンジが始まった」

「西粟倉で起業しませんか:森林への愛とビジネスマインド、両手に抱えて林業再生!」

その他メディアの記事で読む

西粟倉村・森の学校 Part1 : 100年の森を育み、商品を生み出す、村の営業部。(coLocal コロカル)

西粟倉村・木工房ようび Part2 : 百年の森から生まれた、檜の家具。(coLocal コロカル)

岡山・西粟倉村 ものづくりから始まる、森林づくり、村づくり
前編 森林がつなぐ、これまでの50年、これからの50年(アネモメトリ)

岡山・西粟倉村 ものづくりから始まる、森林づくり、村づくり
後編 村民と移住者たちの森林づくり、ものづくり(アネモメトリ)

・ 「百年の森林」で暮らしをつくる。岡山県西粟倉村で、温泉宿をリノベーションしたローカル起業家、井筒耕平さんと小野裕之対談(greenz)

成功の裏にはきっと、たくさんの物語がある

改めて、さまざまな角度で切り取られた「西粟倉」「百年の森林構想」を読んでみた。取材者は対象に寄り添い、話を聞くうちにきっと、すてきだな、とか、ここは日本のどことも違う、という静かな興奮を覚えたのではないだろうか。2年前、初めて西粟倉のキーパーソンたちに取材した私がそうであったように。

もちろんベンチャー企業の奮闘も、蘇りつつある森も、西粟倉の本当の姿。勢いのある行政、可能性を秘めた森林など、いくつもの条件が折り重なり、たくさんの人を惹きつける物語が生まれてきた。でも、私たちは、成功例というめがねをかけて、西粟倉を見ていないだろうか。

人に寄った物語が多い西粟倉の記事の中で、経済的な視点で書かれた記事を見つけた。そこには「世界が注目する西粟倉の林業」という言葉があった。現政府は農業の競争力をつけて海外へ輸出という目標を掲げているらしく、それに倣えば、林業だって魅力たっぷり、という書きぶり。日本の人工林、里山の経済について、本当にそんなに楽観的なことが言えるだろうか。私は、そんな風には思えない。

私以上に地域の実情を知る人たちはなおさら、分かりやすい正解やゴールなんてないことは、身にしみて実感しているんじゃないだろうか。

西粟倉の物語の登場人物たちだって、悲観することだってあるだろう。他に選択肢がなくて選んだ道を、歯を食いしばって進んでいるかもしれない。そんな、今まで表舞台に現れなかった話がきっとあるはずだ。

めまぐるしい世の中を生きている私たちにとっては、途方もなく長い時間に感じる100年。そんな長いスパンで物事を実現していくためには、たくさんの、そして世代を超えた人々の意志が、継がれていかねばならない。静かに、着々と百年の森林構想を支えている人、独自路線を歩む村人、表舞台の裏側…これまで切り取られてこなかった角度から、構想が始まってから10年目を迎えた「百年の森林構想」について探っていきたい。

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