岡山県

西粟倉

にしあわくら

一人一人の“らしさ”を原動力に西粟倉村が動き出そうとする現在(いま)。

山々に囲まれ、谷筋を縫うように1500人の人が営み暮らす村、西粟倉。
合併を拒んだこの村は、自分らしく暮らす、働くことを一人一人実現してもらうことに取り組んできています。
具体的な取組は起業家を迎え入れ応援する「ローカルベンチャースクール」。起業家はまさに“自分らしさ”をビジネスを通じて実現しているプレーヤーです。
しかし、起業しなければ“自分らしさ”は実現できないのでしょうか?
「いや、そうではない。」と西粟倉は考えます。
村に関わる一人一人が望めば、“らしさ”を見つけ、叶えることは出来る。
その為に、自分を研究する研究所(ラボ)として村を開放することも決断もしました。
それが「ローカルライフラボ」です。
こうして一人一人の“らしさ”実現の後押しが開発される一方で、村全体の戦略の在り方を模索するタイミングがまた偶然のように、しかし運命と感じるように重なります。
1つ1つの動き、村全体の動き。
それが重なり合い影響しあう、生命力ある村の現在(いま)を少しでも伝えることができれば嬉しいです。

 

「計画的戦略」と「創発的戦略」

西粟倉村は2004年に美作市の合併協議会から離脱を宣言し、「西粟倉村」として歩むことを決意しました。そして村として歩むためのビジョンとして2008年に「百年の森林構想」を掲げます。
この構想は、西粟倉村の面積95%が森林となっており、その85%が植林地であることも背景にして「50年前に子孫のことを想い植林した人々がいるように、これから50年先も山を、村を守り残していこう」というメッセージが込められています。
この構想は新たな事業やプレーヤーを引き寄せた成果もありますが、構想が掲げられて来年で10年を迎えようとする今、改めて旗印を見直す動きがあります。森林業や産業振興に偏ったものと捉える場面もあり、それを払拭し、より村全体を包括し、村全体の未来を指すメッセージを込めたものにしていければと検討会が村役場で行われています。

検討会の様子

こうした旗印・ビジョンを描くことと並行して、その旗印を実現させるプロセスも株式会社知識創発研究所の松崎光弘氏を迎えて研修を行っています。
そこでの学んだことの大きな1つは「計画的戦略」と「創発的戦略」。
予め決められた計画に基づいて、逆算して粛々と実行していくことを「計画的戦略」、計画時には見えていなかったけど、時代や環境の変化や誰かの強い想いから湧き上がるような偶発的でもあるアクションを「創発的戦略」。
計画的戦略にうまく創発的戦略を組み込んで実際のアクションに反映していくことで、都度変化する状況やニーズ、新たな資源を柔軟に活用出来、成果につながっていくことを学びました。
この機会は、戦略に関するインプットだけでなく、大切な気付きがありました。
それは、この計画的、創発的戦略の2つの戦略は西粟倉村の歩みのなかで巧みに織り交ぜれてきたのではないかということです。

例えば、村として歩むことと決めて間もなく、ローカルベンチャーの先駆けとして立ち上がり今も成長を続ける「株式会社 木の里工房木薫(もっくん)」。
山から切り出した木材で保育家具を製造販売している会社です。
この会社が生まれたことは、村に秘められた起業の可能性をと伝えるだけではありませんでした。木薫創業後に起こる、人材確保の施策・雇用対策協議会の発足や、「百年の森林構想」で木材の加工流通が柱事業の1つに位置付けられる背景には、木薫の存在は欠かせませんでした。
合併しないという選択は創発的なプロセスから生まれた結果でもありますが、村として自立することが「計画的戦略」となった時、木薫は新たな「創発的戦略」と言えると思います。そうして実行された「百年の森林構想」。
西粟倉村は計画的+創発的戦略を実行してきたと言えるのではないでしょうか。

株式会社木の里工房 木薫 代表取締役 國里哲也氏

こうして、これまでを分析することで、その時代とそこに居た人たちだからこそ生まれた成果であることはもちろんですが、仕組みとして捉えることで一部再現性があることが見えて来た気がします。
そうなれば、次に続く施策や取組も方針を定めたとしたら、実行に移しながらも企画時には思い描けなかったアクションやニーズをうまく取り入れ更に深みある実行策が打たれ、一歩、また一歩と進んでいく村の力強い姿が見えてきます。

先程、木薫を例に出しましたが、ローカルベンチャーはこの創発的戦略の代表的な担い手です。
しかし、この創発的戦略を企てていくのはもはや、ローカルベンチャーのみではありません。
戦略、アクションはビジネスには限らず、仮説検証を繰り返す研究段階でも、暮らすことそのものでも当てはまります。また、戦略を立てる人の属性は役場職員、村民一人一人であってもそう。一人一人のアクションが村の歩みに関わっていく、その実感を持ち暮らし働いていける場所、それがこれからの西粟倉村なのだと思います。
それは、誰もが創発的戦略を担う人材として活躍出来る場所になるということです。

 

これからの村に必要な人材は「創発型人材」

前述したように、これから村が積極的に迎え育てていく人材は「創発的戦略の担い手」です。
加えて、その人自らの人生において、計画的戦略と創発的戦略を上手く織り交ぜていける人材となっていくことが重要だと考えます。
「こうありたいな、一旦あの方向へ進んでみよう」という計画的戦略。それに沿って暮らし働く中で「お、これは自分に合う!好きなこと見つけた!やりたいことはこれだったか!」という創発的戦略はどんどんと取り込んでいく。結果、自分の軸は持ちつつしなやかさを持つ、“らしさ”を体現する人となると考えます。そういった人材を「創発型人材」と表現しておきます。

この創発型人材を募る扉が今2つ開いています。
「西粟倉ローカルベンチャースクール2017」と、「西粟倉ローカルライフラボ2017」です。

西粟倉ローカルベンチャースクール2017。
プログラム名通り、ローカル=地域での、ベンチャー=起業・新規事業の誕生、を応援するプログラムです。

2015年から始まったローカルベンチャースクール(以下LVS)。これまで2回の実施でエントリー数は25件、支援事業者と認定されたのは6件です。
LVSが生み出した成果は起業家や新規事業発掘だけでなく、発掘の仕組みが作られたせたことも大きな意味がありました。
また、昨年度には、村役場の方々から「こんな事業者が村にあれば嬉しい」というアイデアも募り、村の人々の想いと重なる事業を村ぐるみで応援する工夫も加わります。LVSは、まだ2回の開催ですが、仕組みとして育っていく姿は印象的です。これは現在進行形で、この先もどんどんと変化、成長していくのだと思います。

今年のLVS2017のメッセージは「強い想い。」
「想い」を起点に、そして原動力に具体的なアクションが思い浮かんでいる方を募っています。
対象者は村を拠点にした起業、第二創業、新規事業を立ち上げようとする方。事業規模は不問です。
LVSは「想いの明確化」と「ビジネスプランのブラッシュアップ」の2つが大きなコンテツですが、優先順位は何と言っても「想い」です。これは、起業家は誰かに褒められるからとかでない純真な想いに行き着くことでしか誰かを魅了するアクションは立ち上げていけないし、呼応して周囲が協力することも難しく、結果続かないのではないかと考えるためです。
「想い」に行き着くことが出来れば、ビジネスプランは芋づる式に引き出されていきます。

昨年度も応募者が自分の想いに「あ!」と気づかれた瞬間は未だに記憶に鮮明です。そこに行き着くとみるみるうちに目が変わり、言葉や行動がとてもエネルギッシュになり周りも引き込まれていきました。引き込まれた、と言うより、そこに生まれた応援の渦に自ら引き込まれようとしていた、というのが正しい表現かもしれません。それほど心地のいいエネルギーがあったのです。LVSはビジネスプランコンテストと思われる方もいるのですが、ビジネスの手前に費やすプロセスであることが大きいです。「あ!」の後に、アイデア、ビジネスプランがうまれていきました。

昨年のローカルベンチャースクールの一幕

想いに行き着くまでただ1人で自問自答しろということでは決してありません。問いかけはチーフメンターの勝屋久氏と勝屋祐子氏はじめ村内外のメンターのお力も借りながら進めていきます。村内のメンターは主に役場の方に務めていただきます。村民でもある皆様は村の課題や可能性を熟知した方々です。こうした方々に沢山の問をもらい、気づいていく。そしてその気づく過程そのものも多くの人と共有していきます。

チーフメンター勝屋久氏

勝屋祐子氏

選考フローは第一次選考と最終選考の2回。一次選考会と最終選考会の間にはメンターとコーディネーターが伴走して事業ブラッシュアップ期間となります。この期間、問われ、考え、気付きを繰り返します。
最終選考会で支援事業者となった方々は2018年4月から移住し、起業、新規事業立ち上げに取り組んでいただきます。
村外からの移住が伴う場合は地域おこし協力隊制度を活用できます。スタートアップ資金として、2018年4月より最大3年間、月額20万円の委託費、年額100万円の直接経費補助が支給されます。またサポートとして、月に1度の面談も行いながら創業期の海を超えていただきます。

昨年の様子
:一次選考会 http://guruguru.jp/nishihour/lvs/report/lvs1.html
:最終選考会(前編) http://guruguru.jp/nishihour/lvs/report/lvsfinal1.html
:最終選考会(後編) http://guruguru.jp/nishihour/lvs/report/lvsfinal2.html

 

「ローカルライフラボ」の誕生

今年もう一つの扉が明きました。西粟倉ローカルライフラボ2017(以下LLL)です。

これまでは外から人を迎える場合は自身のアイデアを持ち込み実行頂いてきました。
しかし、やることが明確でなくても「こう在りたい」という想いがあれば、自分×地域を題材として、“自分らしさ”の研究、村の可能性の研究をしていただくものです。
面接を行い、採用された方は2018年4月から村に移住、そこから自分×地域の研究に取り組んでいただきます。研究の切り口は個人ごとに設定します。ご自身独自の切り口でももちろん良いですが、村からも「こんなテーマには村の可能性がまだまだ潜んでいるよ!」「こんなアプローチがある気がする!」と13ものテーマが出ています。
これらのテーマに取り組むことももちろんOKです。(研究生になると最大3~4のテーマに取り組める予定です)

このテーマ発表会は、昨年のLVSテーマ発表を引き継いで行い役場の方々に発表いただきました。この場で感じるのは、役場の方々が創発的戦略の担い手であること。この活力には圧倒され、励まされ、笑顔をもらいます。

村の課題や可能性に精通している役場の方が出す課題と、そのアプローチ案はどれも興味深い内容です。また、この内のどれかのテーマに取り組む際は、提案いただいた役場の方々にも伴走役を務めていただくのでとても心強いです。

このテーマはLVSの事業がより地域と密着していくヒントや、現実的になっていく糸口が随所にあると思います。LVSに関心のある方も是非ご覧になってみて下さい。

研究テーマ発表会では一人一人が丁寧に想いをプレゼン

LLLも地域おこし協力隊制度を活用するので月額20万円の委託費、年額40万円の直接経費補助が支給されます。(※LLLとして取り組むのは原則1年間。2年目からも協力隊制度も活用できますが、具体的に何に取り組むかは決めていただくことを前提としております。)またサポートとして、月に1度の面談とゼミ(LLLメンバーとコーディネーターと共に活動を振り返り、今後を計画していきます)も開催します。

LLL期間は“しなければいけない”から一旦開放され、“できるかもしれない”“やってみたい”から“やりたい”を探す期間とも言えます。
また、LLLに参加することは、リセットやリスタートを選ぶことにもなります。
リセットの怖さもわかります。一旦これまでのことが白紙になるような感覚もあるかもしれません。しかし、全て白紙にしろという呼びかけではありません。
真ん中の自分の想いを隠してしまっている、“しなければいけない”を脱ぐような感覚でしょうか。そうすることで「自分」を見つけ、大切に出来るようになると考えています。

 
最後に。
ここまで、今村で起こっていることについて書いてきました。
しかし、村の未来については語りきれていません。

西粟倉の中に、「創発」の種が増えてきて、それらが芽吹いて行ったら、どんなおもしろい事が起こるのか、どんな魅力的なプレイヤーが活躍するのか、、予想することも出来ません。
ローカルベンチャー、LLL研究生や役場の方々、村に関わる多くの人全員がプレーヤーとなり、私が今語ることの出来ていない未来を作り上げているでしょう。
そのうちの1人は、今これを読んでもらっている方のどなたかかもしれません。

村のこと、人のこと、予測がつかないこれからのこと。

少しでも興味があれば、一度村を訪れて見て下さい。
皆さんの目で、耳で、五感で村を実感してほしいです。
そして「この村と一緒に自分らしく暮らすなら、働くなら」に想いを巡らせてみてほしいと思います。そして出来ればそこから小さくともアクションが生まれると嬉しいです。LVSやLLLを使うかどうかは拘りません。
その人なりの村の資源、村の可能性を生かして自分らしさを叶えてもらえることを望んでいます。
応援は全力でいただきます。

まだ見ぬ、これからの創発型人材の方にお会い出来る時を、一緒に創発的戦略の担い手になっていただけることを楽しみにしています。

LVSやLLLに関心のある方は是非一度お問い合わせ下さい。

エントリー書類ご請求
西粟倉ローカルベンチャースクール2017 http://ur0.pw/Fih1
西粟倉ローカルライフラボ2017 http://ur0.pw/FigU

プログラムWEBサイト
西粟倉ローカルベンチャースクール http://throughme.jp/lvs-nishiawakura/
西粟倉ローカルライフラボ http://throughme.jp/lll-nishiawakura/

まず一度行ってみる!という機会にご活用下さい。
フィールドワーク(任意参加)
9 月 9 – 10 日or 9 月 16 – 17 日(土日)
西粟倉村にどのような可能性があり、どんな人が働いているのかを現地を訪れ体感する 2 日間です。フィールドワークでは、村の資源や地域の人を紹介する視察や懇親会、想いが形になるヒントを掴むワークショップなどを予定しています。
エントリー http://ur0.pw/Fihb

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