岡山県

西粟倉

にしあわくら

新しい「応援」の概念がここに。西粟倉村役場ローカルベンチャーのキーマン2人が語る、挑戦が生まれるために必要なこと。

ローカルベンチャーとして移住者を迎え、新たな事業が生まれ続ける西粟倉村。
2004年に1,600人の人口でも村として歩むと決めた当時には、周囲の人達が思い描けなかったほどの多くの方が移り住み、新規事業が誕生する村となっています。特に“ローカルベンチャー”に関わり、人や事業が動き出す時には、村ぐるみの応援があります。
「どうして、村ではここまで前向きに応援が確立されているんだろう?」
この1つの素朴な疑問が頭から離れなくなってしまった、筆者であるエーゼロの林。ここ数年、ローカルベンチャープログラムを一緒に取り組ませていただいている役場のキーマンおふたりに、その答えを求めて取材しました。

 

脱・地域貢献シンドローム!?

– 今日は突然すみません!(※連絡した当日にインタビューをうけてもらいました)
ローカルベンチャースクールでご一緒していて、役場の方々が色んな事業の立ち上がりに親身になって応援いただく姿を見ております。まるで「応援する喜びに飢えているんだ!」と思うくらいです。この応援するムードはどうやって生まれたんでしょうか。

上山:おお、取材風だね。笑

– 取材です!笑
それに、この村役場の応援するスタンスが前々からかっこいいと思っていて、その謎が遂に解けるかなと思い、なんだか緊張しております。

上山:まあまあ気楽に。

ローカルベンチャーの受け入れを始めた頃から関わってきた上山さん(左)と、今年4月からローカルベンチャー事業を担当する萩原さん(右)

– まずこれまで、多くの人を迎え入れてきてた中で、印象的なことはありますか?

上山:もともと合併協議会を離脱し、村としていきていくことを決めた当時から外の人を受け入れていこうと取り組みを始めました。ただ、最初は村にある「森林」や「観光」に付属する内容がメイン。そんな中で印象的だったのは、酒うららの道前さんが来た時だね。

日本酒が好きで酒屋のセレクトショップを開きたいと言ってて、なんでそんなことしたいのか僕らにはわからなかった。この小さな村で顧客も少なく、且つこだわりの酒屋というニッチな業態が成り立つのかすぐにはイメージできなかったんです。だから、理由を聞いてみたんだけど、「田舎で、飲むところもないので、地域のおじさんや若い人が寄り合いしたときに出張日本酒バーみたいなことをやったらコミュニケーションも進んで良い」と言われて。この発想が斬新だと思ったことも記憶しています。
もう僕らの考えを超越してて、目が点になるような感覚だった。それまでの人たちは森林とかツアーとか、理論的に整理がつくんだけどね。

その時の採用のプロセスは、まず人物面接をしたんだけど、まぁ食事しながら話そうや、みたいなやつでね。その時に道前さんは一升瓶を持ってきて。しかも、もう既に一升瓶空いて少し減ってて、始まる前に飲んじゃったって言うんだよね。笑
でも聞けば、京大。そこから日本酒が好きだからって業をなそうとするのは理解できんかった。でも面白そうだと思ったことは確かでした。だからやってみたらとなって。今では道前さんの開業した「酒うらら」は定着してきたし、全国を飛び回りながら活躍してる。
道前さんが来てくれたあのあたりから、森林とは関係ないこちらが想定していない事業が生まれだしたね。

酒うらら 店主 道前理緒さん

– 道前さんが来た時は村としては「是非やってほしい」、という雰囲気だったのでしょうか?

上山:と言うより、「なんかよくわからないけどおもしろいからやってもいいよ」ということかな。お願いしているわけではなくて、一人一人がやりたいということが前提。地域のために、は別にいいんだよね。
「地域貢献シンドローム」からは離れてほしい。

– 地域貢献シンドローム?そのまま解釈すると、「地域貢献しなくてはいけない」と思い込んでしまっているということですか?

上山:そう。多くの人は、地域は困ってて、自分たちが何かしてあげなきゃと思っている人が多いかもしれないけど、西粟倉村ではそれは違う。お願いしているわけではない。
道前さんは、「自分は日本酒が好き」から始まってその動機で出張居酒屋をしている。これは地域が困っていることが前提なのとは全く違いますよね。

萩原:何かしてあげたいんですけど、何かありますか?は違う。これしたいけど、やってもいいですか?は「いいじゃん、面白そう」となる。
巷の情報でも地域は課題が山積してて、移住者は救世主のような見え方で描くことが多いのも原因であるかもしれないね。

 

やること全て新しいし、プラスアルファ!

– 移住者を「地域の救世主」から開放する、それでは西粟倉村ではどんな役割を担っているのでしょう?

上山:役場内では一緒に手を組むべき存在ということがわかってきたかな。
この30人ぐらいしか居ない役場だと、ルーティンワークでしっかりと務めないといけない仕事があって。それにプラスアルファで新しいことをやろうと思うと、かなり力と想いが要る。もし新しいことをするとなると、それは自分ひとりでやりきるつもりでやらないといけないことが多い。そうなると、挑戦はしにくいですよね。
でも、ローカルベンチャースクールを通じて、村役場がやることだと思いこんでいた事業を、それやりたいですと手を挙げてくれる若者が外から来たりして。
今年からはローカルライフラボも始まる中で、また新たなプレーヤーが来る可能性を感じると、行政がそのプレーヤーと一緒に行動していくことを前提にもっと面白い村の未来を描けるのだと思う。
※西粟倉ローカルベンチャースクール  http://throughme.jp/lvs-nishiawakura/
西粟倉ローカルライフラボ  http://throughme.jp/lll-nishiawakura/

萩原:行政の仕事は答えが見えるんですよ。むしろ見えていないといけない。税金を使った仕事である以上、失敗はありえないんです。

– そうだと思います。村の人達の生活をしっかりと守っていっていこうとされている役場の方々の姿も見ています。
でも、だからこそ、思いがけない、想像もつかない事業で外からの人が起業するとかはNGが出るような気もしたんです。

萩原:NGなんて出さんよ。笑 そもそも小さな村で既存の産業や商売があまり無いから、コンセンサスをとらないといけないことが少ないんだよね。
来るものは全て新しいことになる。プラスアルファでしかない。もし途中で辞めてしまったとしても、もとに戻るだけ。
それに今は期間限定だけど、国の交付金がありこの予算では「なにかおもしろそう」という可能性に投資ができる。もちろんちゃんと成果を出していかないといけないのだけど。
また一方で、役場では想像し得ない、目が点になってしまうような事業を起こしてものびのびとその人に合った事業が回っていることで、実績も出てきている。
いいタイミングなのだと思います。

外から来た人たちと話す上山参事

 

役場は、祭の実行委員みたいなもん

– ローカルベンチャーに関連して外から人が来ることに対して、おふたりは楽しそうですね。

萩原:面白いし楽しいですよ。何が起こるんじゃろうとニタニタしてます。笑
あ、でもこのローカルベンチャーの盛り上がる状況は役場が作ったというわけではないと認識しています。

– え!いやいや、役場がこの状況を仕掛け、作り上げていると思います。
村の方針として外の人を受け入れていこうと舵を切られたことも、協力隊制度も活用しながら起業家を増やす仕組みを設計したことも、役場無しには作られていない状況だと感じてます。

萩原:仕組みやきっかけは作れたとしても、本質的には村のローカルベンチャーの方々が作ってくれている状況ですよ。それを自分たちは 少し離れて見ている。イメージするなら祭の実行委員会かな。
実行委員としてテントで控えてて、色んな屋台が出て催しがある風景を楽しんでる。でも何か起こると出てって対応する。たこ焼き屋のソースが切れた時のためにソースやマヨネーズを準備をしていたり、ガスが切れた時のガスボンベを用意しておくとか。たまに売れてないと買ったりすることもあったり。笑

上山:この距離感がいいのかもしれないね。
そうなるとなんだか「応援」って言葉じゃないような気がするんだよね。
それに村に来たローカルベンチャーの人たちは「応援してくれ!」と言ってきたこと無いし。

– 「応援」ではないのですね。取材前に持っていた仮説とは違いますが、でもそんな気もしてきました。
応援する側とされる側としてしまうと、地域の為に頑張ってくれるから応援しなければいけない、地域が応援してくれるから頑張らなければいけない、または地域のために頑張るのだから応援してくれるよね、のような状況を招く力を持ってしまうとも考えられます。
これでは、力ませてしまったり、主体性を欠いてしまい本来の力が出せなくなってしまうような気がします。もしそうなってしまったら、すごくもったいないし、「応援」が障がいになるなんて誰も幸せじゃないですね。
それより、祭の実行委員会と好きな商売をしている屋台のような関係はとても頷けますし、いい距離感なのだろうと思います。
ただ、「応援」と感じる空気や言葉にぐっと背中を押されて、もしくは惹き込まれて一歩踏み出される方々も見てきています。そこにパワーは確実にあると感じます。
西粟倉にある「応援」は独特の進化をしている気がしてきました。

上山:地域での「応援」をする側もされる側も苦しくしてしまうのは、自治体側が課題を持てば持つほど招いていまうことだったりするんだよね。
そして、自治体が課題課題、課題解決大歓迎ー!と叫ぶことで、更に地域貢献シンドロームを学んできた人たちが入ってきやすくなってしまって、お互い苦しくなるようなことも多いんじゃないかな。
例えば、空き家があって、地域側が「空き家の使いみちがわからないからやってほしい」となり「困っているんですね!私がそれやってあげます」「じゃあ応援します。」みたいな状況。
これでは、何かうまくいかない事態になると「やってあげているのに」とか「やってくれなきゃ困ります、その為に応援したんですよ」と衝突は生まれやすい。
一方で西粟倉は「空き家を使ってこういうビジネスがしたい。空き家ないですか?」となると、「ありますよ、是非使って下さい」というようにしている。その方の「やりたい」が起点にあることが重要だと思います。それがたとえ一見、村の課題や既存の産業、想定されている可能性と結びつかなくても問題はないです。

村に来てくれる人は、自分のやりたいことをやってくれてたらいいんです。今、村ではそれを繰り返すことで事業が回って、雇用が生まれて、また新しい挑戦をしようとしている人たちが居る。
皆さん山あり谷ありだと思いますが、ちゃんと元気にやってますから。
それで十分地域貢献ですし、私達もこんなに楽しいし嬉しいんです。

– なるほど、ただシンプルにやりたいことをやればいい。西粟倉の懐の深さを感じます。
そして西粟倉の「応援」の言葉には収まりきらない、その人がやりたいことを一番尊重するお祭の事務局のような温かい寛容さと、一方で「すべてが新しいんだからやったらいい」「やりたいことは、やってみなよ」という後押しにパワフルさを感じています。
そして、今後新しい人が来て、また新しいことが生まれることを純粋に楽しみにされている姿が、素敵でした。
今日は、お時間をいただきありがとうございました!

 

 

村で日々確立されつつあると感じていた「応援」は、地方創生や地域活性のまわりに漂いがちな課題解決の為の応援ではなく、「やりたいなら、やってみたらいい」というその人自身の挑戦をそっと背中を押したり下支えすることに徹したスタンスから滲み出ていた結果だと気づきました。
上山さんも萩原さんも、次は何が起こるのか、どんな方が来てくれるのか、そんな期待が表情に現れている姿はとても印象的でした。
この笑顔や雰囲気には、どんな挑戦であっても「あなたがやりたいなら、やってしまえばいいんですよ」と背中を後押しされる寛容さがあります。

今とは違う場所に一歩踏み出そう、予定していなかった人生に一歩踏み出そう、もしくは何か挑戦してみようという方は、是非ローカルベンチャースクールやローカルライフラボにエントリーしてみてください。
この西粟倉村には、役場の皆さんや村民のみなさんをはじめ、懐深く、受け入れてくれる雰囲気があります。地域に足を踏み入れることはとても勇気がいることだとは思いますが、ここに来ると、自然と肩の力が抜けて、自分らしく、やりたいことに目を向けられると思います。
やりたいことに熱中できるフィールドが、ここにあります。
エントリーお待ちしております!

エントリーを検討されたい方は以下のWEBページから資料請求くださいませ。
西粟倉ローカルベンチャースクール  http://throughme.jp/lvs-nishiawakura/
西粟倉ローカルライフラボ  http://throughme.jp/lll-nishiawakura/

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