岡山県

西粟倉村

にしあわくらそん

西粟倉村産の電気を使いませんか?ふるさと納税の返礼品としてほぼ全国で電気料金の割り引きが受けられる、初の取り組み。

2023年11月、『株式会社エーゼログループ』は西粟倉村で生まれた再生可能エネルギー(以下、再エネ)100%の電気供給サービス「百森でんき」の販売をスタートしました。
(詳細プレスリリースはこちら

さらに、百森でんきは日本で初めて、ふるさと納税の返礼品としてほぼ全国に届けられることに(エーゼログループ調べ)。

これらはどのような仕組みなのでしょうか。

また、地域で生まれた電気を使う良さとは、何なのでしょうか。

グループ会社で百森でんきを運営している『三ッ輪ホールディングス株式会社』の中島雄平(なかじま・ゆうへい)さん、『株式会社エーゼログループ』のふるさと納税担当の亀田惇(かめだ・じゅん)、代表の牧大介(まき・だいすけ)の3名に話を聞きました。

 

地域で電気をつくり、売上は森づくりに還元する

— ふるさと納税を担当している亀田さん、今回リリースされたのは、どのようなサービスなのでしょうか。

亀田:百森でんきは、西粟倉村で発電される再エネ由来のゼロカーボンの電気です。沖縄電力のエリアと離島を除く日本全国が対象エリアとなります。また、ふるさと納税で西粟倉村に寄付いただくと、返礼品として寄付額に応じた百森でんきの電気料金の割り引きが受けられます。
例えば、30,000円分のふるさと納税を行った場合、税金から28,000円控除され、実質2,000円で年に9,000円分の電気料金を返礼品として受け取ることができ、これまで支払っていた電気料金を減らすことができます。こちらのページから、百森でんきを使用した際の電気料金のシミュレーションが可能です。
西粟倉村と『三ッ輪ホールディングス株式会社』グループで電力事業を展開する『株式会社イーネットワークシステムズ(以下、ENS)』、『西粟倉百年の森林でんき株式会社』と連携してこのサービスを提供しています。

中島:電気契約会社の変更に必要な手続きに関するサポートは『ENS』が行います。『三ッ輪ホールディングスグループ』は、「ゆたかな地域づくり」の実現を目指しています。

牧:小規模では地域電力会社が電気の返礼品を行う事例はあったんですが、ほぼ全国に供給できる本格的なサービスは、これが初めてになります。当社は代理店として参画させていただき、その売上は畦畔林の再生など森づくりに還元していく予定です。

亀田:百森でんきには6名、ふるさと納税では9名(百森でんきへの未切り替え含む)からお申し込みがあり(2024年2月現在)、「西粟倉村の取り組みに共感しています」とメッセージをくださった方もいらっしゃいました。

中島:高額の寄付をしてくださる方も多いですよね。村内の方だけでなく、ふるさと納税として村外の方にも百森でんきをご利用いただき、普段の生活が地域に還元できるに価値として繋がっていることを感じていただけたらと考えています。

 

 

— 時間をかけてつくられたサービスだそうですね。

牧:私たちがスタートを切る前、地域産の電気を返礼品にしたい自治体側と、「その電気が地域で発電したものだけとは言えない」とする総務省で意見が分かれていましたが、国の態度が一転したんです。政府の「国・地方脱炭素実現会議」で、2030年度までの行程表に「ふるさと納税の返礼品としての地域再エネの活用」と明記されました。

亀田:さらに電気市場の混乱で状況が二転三転して、ことが進まずに悩んでいたとき、『三ッ輪ホールディングス』さんの当時の担当者さんが親身になってくださり、「この方なら聞いてくれそう、相談できそう!」と思ってご相談させていただきました。とことん付き合って解決法を一緒に考えてくださり、感謝しています。

牧:「こんなサービスがつくれないでしょうか」と『三ッ輪ホールディングス』さん相談してからリリースまで、電気市場の混乱やウクライナショックもあり2年ほどかかりました。電気の世界ってむずかしく、ややこしいんです。今回やっとできる状況が整ったと言えます。

西粟倉村の第一小水力発電所「めぐみ」

 

リスクを取る決断をした『三ッ輪ホールディングス』

— むずかしいサービスが実現できた理由は何なのでしょうか。

中島:西粟倉村の発電所は、「再エネの固定価格買取制度(FIT制度)」で電気を送配電事業者に売電しています。そのため、村は自分たちの発電所が発電した電気の供給先を選ぶことはできませんし、電気を使ってくれている人たちの電気料金を決めることもできません。

牧:そこで『三ッ輪ホールディングス』グループの『ENS』さんは特定卸供給契約という仕組みを使って、西粟倉村の発電所の電気を調達し、仮に売れ残ったら『ENS』さんが買い取るというリスクを取ってくださいました。だからこそ可能になっているんです。

『ENS』さんは小売電気事業者として規模が大きい会社です。需要と供給のバランスを取るためにはある程度規模があって、お客さんを抱えていないとむずかしいんです。電気市場が混乱したとき、赤字を抱えて倒産した地域新電力会社もありました。

『ENS』さんはある程度の規模をもたれているので、西粟倉村の電気を全量買い取っても、他にネットワークやしっかりしたビジョンもあって、体力もお持ちなので、実現できました。

 

— 小売電気事業者が『三ッ輪ホールディングス』グループの『ENS』だからこそ、実現できたのですね。

中島:『三ッ輪ホールディングス』は創業して80年以上の LPガス事業者である三ッ輪産業をはじめ、電力事業やエネルギーソリューション事業などを展開する会社を傘下に持つエネルギー企業グループです。現在は、スタートアップへの出資なども積極的に行っています。

牧:ENS』さんがOEMで電気ブランドをつくるという基盤を既にもたれていたこともあり、いろいろな奇跡が重なったんです。

中島:ゆたかな地域づくりを実現する当社グループのスタンスから、今回のお話を受けてふるさと納税に取り組むことに踏み切りました。リスクを取って新しく踏み出してこそ見えてくる世界があるのではないかと思っております。

当社グループでは「短期的な利益ではなく、長期的な視点で地域にとって本当に意味のあるサービス」を大切にしています。ビジョンを描ければ、応援してくれる会社です。自分で言うのも変ですけど、こういう会社はあんまりないと思うんです(笑)。いい会社だなと思います。

 

— 中島さんは、百森でんきの他にも、地域創生にまつわる事業を担当していると聞きました。

中島:はい。個人の話をしますと、前職では大手百貨店で物産展バイヤーをしていました。売れる物を仕入れ、ブームが過ぎると仕入れを止めるので、「地域の持続性に貢献できないな。物を売るだけでは地域の価値は生み出せないな」と感じていました。地域へ継続的にお金が流れる仕組みをつくり、地域が元気になる姿を創っていきたいと思っています。

2023年11月から12月に開催された、世界の国々が気候変動の問題を話し合う「国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)」では、2030年までに再生可能エネルギーの容量を3倍に増やすことに日本も合意しており、。そのための送配電ネットワークの増強などにより、今後、電気代がもっと上がる可能性もあります。

そうした気候変動対策として、百森でんきを認知いただければと思います。まだまだ道半ばですが、「どうしたら百森でんきのファンになっていただけるのか」を考えていきます。

 

ここから、身体感覚をともなうコミュニケーションをどう重ねるか

— 地域産の再エネの良さ・魅力は、何だと思いますか?

中島:電気を生み出す地域や、そこにいる人たちの顔が見える事だと思います。今回百森でんきとして提供している電力を生み出している水力発電施設は、私も取締役として参画させていただいている『西粟倉百年の森林でんき株式会社』のメンバーが施設管理を行っています。地域と人との関係性を感じられるからこそ、電気をより大切に使おうと思えるのではないでしょうか。

牧:そうですね、電気を通じて地域と繋がることに価値があると思っています。

亀田:電気によってできる繋がりを、お互いにどういう価値があるものにしていけるかを大事にしていきたいと思います。

中島:一般の方々に、再エネに価値を感じていただく必要を感じています。手触り感が出せたらいいんですが、電気って見えないですからね(苦笑)。

牧:身体感覚をともなうようなコミュニケーションをどう重ねるかが問われているのでしょうね。当社では西粟倉村の森を購入する計画があり、それに活用していけたらと考えています。

世界がグローバル化し、経済拡大していくなかで、顔の見えない手触り感のない市場取引が行われています。バーチャルにいろんなものが進んでいますが、西粟倉村だと森があって、森が管理されているからこそ水力が安定していて発電や電気供給もできます。

安定した水力発電というのがポイントで、そこに身体感覚をともなうものを考えるといいのかもしれません。現場を見れば、森とCO2の関係や再エネが何なのかを実感でき、知る・学ぶきっかけにできます。こむずかしい話になりがちですけど、西粟倉村には現場がある。その入り口になるサービスだと思います。

亀田:現段階では、電力会社切り替え後の料金シミュレーションなども行って、金銭的なメリットもしっかり見込んだ上で申し込んでいる方が多いと思われます。ただ、決め手として地域や環境への貢献も出来るということがポイントになっているようにも感じられます。

牧:申し込んでくださった方たちとどういうコミュニケーションをとると、コミュニティが育っていくのか。電気でつながることが、どんなふうに西粟倉村とつながり続ける人たちのコミュニティになっていくのか…。電気は一般的な生活をしていれば必ず買うものですから、可能性をどう引き出すかはここからの勝負ですね。

再エネの魅力や、西粟倉村産の電気のユーザーになっていただく良さを、伝え続けていきたいです。

— これからどんどん広がっていくといいですね。ありがとうございました。

 


百森でんきのご契約を検討をいただける方は以下のWEBサイトをご覧ください。何かご質問等があればお気軽にお問合せください。
https://denki.gurugurumeguru.jp/lp/