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自分の山を持つ夢、この村なら叶います。林業に取り組む協力隊を、岡山県新庄村で募集します。

「自分の山を持ってみたい」。林業に関わる人だったら、誰でも一度は考えたことがあるかもしれません。そんな夢が叶うのが、ここ新庄村。この村では、住民がみな1haの山を持っており、地域おこし協力隊にも、最低1haの山を貸す仕組みが整っています。協力隊への応募にあたり、林業経験の有無は問いません。林業を学び、ゆくゆくは自分の山を持てる。そんな新庄村で、あなたも暮らしませんか。

 

みんなが1haの山を持ち、守り継いできた村

出雲街道を津山から米子に向けて走ると、赤い石州瓦の屋根が立ち並ぶ、小さな村が現れます。岡山県内で最も小さな自治体、新庄村。山すそに清流と田園が広がる、昔ながらの山村の風景や町並みは、どこか懐かしい感じすら覚えます。

人口1,000人を切るこの村では、どの家も1haの山を持っており、偶然出会った料理店のおばあちゃんからも「うちの山はね…」なんて聞くほど。それにしても、移住してきた協力隊でも「山を持てる」なんて、どういうことなんでしょうか。まずは、新庄村役場に勤めている、産業建設課課長・石藤さんにお話を聞いてみます。

石藤:この村は、村有林、民有林、社有林で6,100haほど森林があります。今でも林業の担い手はいるのですが、素材生産をやっている人が多くて。植林をして、保育して、下刈りなんかをしながら木を育てていくのに、手が回っていない状況があります。

いま保育をしてくれてる人は、60代や70代の人らなんです。このまま行くと、将来的に山を管理していく人がいなくなる。やっぱり、植えて、育てて、切るというサイクルを確立させないと林業経営は成り立たないし、山を守っていけないんですよ。

雇用や仕事がつくれる面積の森林はあるのに、担い手が足りない。そんな現状が、村にはあります。

石藤:村の財産なので、山をあげることはできないんですけど、村有林を長期で貸し出したいなと考えています。自由に手入れをして、木を切って、売り上げを自分の収入にしてもらえたらなあって。1haあたり、年間1,000円でお貸ししようと思っています。

私自身も、40年生ほどの木々の生える山を持っています。ときたま行って、木々の手入れをする他、山桜を切ってなめこを植えたりとか、キノコ栽培を家族みんなでやったりもしてますね。薪ボイラーなんかを家に入れれば、切った薪で暖房もできる。これなら貸与料のもともとれますよね。畑を持つっていうのはよくあると思うんですけど、山を、しかも移住者の方でも持てるっていうのは珍しいと思いますよ。

協力隊としての仕事の様子などから、役場・地域の林業関係者が「山を貸せる」と判断できれば、自分の山として借りることができるそう。また、すでに別の地域などで林業の経験を持っている方は、より早く手に入れられる可能性もあるといいます。

石藤:未経験の方には一から教えていくことになりますが、安全に山を管理できるだけの技術を持っているということが大事です。山の仕事は、どうしても危険を伴うものではあるので、技術面はしっかり覚えていただくことになります。それと、「こいつには信頼して任せられる」と周囲が思えること。お貸しした山をいきなり皆伐してお金にして終わり、ということではなくて、ちゃんといい山を育てていってほしいですね。最初お貸しする山は基本1haですが、経験と信頼を積んだ方には、より広くお貸しできる可能性もありますよ。

山とともに生きたいという想いと、確かな技術。これが認められれば、全く新しい土地で、自分の山を持つという夢が現実になるのです。

 

勤めながら、キノコ狩りや狩猟を楽しむ暮らし

今回新庄村では、地域おこし協力隊を3名ほど募集しています。地域おこし協力隊には2つのパターンがあります。1つは、村の事業体に就職する「就職型」。協力隊として最長3年間その事業体で働き、その後そのまま就職する、という方法です。もう一つは、自分で事業をおこしていくことを目指す「起業型」です。
新庄村内にある大きな事業体は、國六株式会社と真庭森林組合の二つ。「就職型」の協力隊で応募した方は、どちらかで働くことになります。
國六株式会社は岐阜県に本社を持つ、創業明治31年の会社。新庄事業所では現在6名の社員が働いています。15年間ここに勤め、現場管理を担当されている西田さんは、「就職型と言っても、かなり自由度が高い働き方なんです」と話します。

西田:うちは1,400haほどの社有林をメインでやっているほか、電力会社や地元の土木業者さんからも山を請け負っています。今、山専門で働いている職員は4名。全員が中途入社で、30代と40代が1人、50代が2人です。未経験の職員も結構いますよ。一通りの仕事を覚えて1セクションを任されるまでに、半年から1年ほどです。

1日の仕事の流れは、朝8時の朝礼で前日の作業報告や、当日の仕事内容の確認を行い、現場へ移動します。作業は大体15時半、16時には終えて、社に戻ったら翌日の準備ですね。うちは基本的に残業はないですし、ちゃんと1日の仕事ができれば仕事を切り上げることもあります。

林業は、冬に雪が降ると山での仕事ができないことから、季節ごとに繁閑の差がある場合が多いです。國六株式会社では、その差を利用して、季節にあわせた暮らしをしている人もいるといいます。

西田:現場の方の給与は日給月給制でお支払いをしています。月に何日出ろというのも決まっていないので、夏場は多めに現場に出て働いて、冬はある程度のんびりしたり、好きなことをしたり。スノーボードの大会で県代表の職員もいますが、ある程度自由が利くこういう環境をすごく気に入ってくれてますね。冬以外でも、きちんと段取りをしておけば、ある程度柔軟に休みが取れます。

僕もキノコ狩りなんかが好きなんですが、山が楽しめる人には、この仕事はいいですよ。朝、現場に行くときに罠をかけておいて、作業が終わったら午後にちょっと罠をチェックして、獲物がかかっていたら晩のおかずにするような生活ができる。そういうのって、この仕事ならではな気がするんです。狩猟や農業などを副業にしながら、生活していくのもいいと思います。

各種資格取得のための研修やマンツーマンでの指導など、未経験でも丁寧に指導してもらえる環境。加えて、田舎暮らしや自然のあるライフスタイルを楽しめる柔軟な勤務スタイルが、國六株式会社の魅力です。

そしてもう1つの事業体が、真庭森林組合。新庄村の他に、隣の真庭市に5支所を置く組合です。新庄支所では、若手5人でチームを組んで、山に出ています。冬場でも、他支所の仕事を引き受けて業務量を調整するなどして、仕事が確保されています。新庄支所所長の松本さんは、「地域の人との関わりが、森林組合の魅力だね」と言います。

松本:新庄村民はみんな山を持っているし、自分で手入れをしていた人も多いから、山に関心のある人がたくさん。僕たちは村有林や民有林を管理していることもあって、村民の方と接する機会も結構あるんです。僕らの作業の後とかに、結構皆さん自分で山に行って、木の様子を見ておられるんですよ。こっちが頑張れば、「ええ山にしてくれてありがとう」って反応が来る。そういう有り難みが、この村にあると思いますね。

一緒に働きたいタイプを訪ねると、「経験よりも、協調性がある人がいいね」と即答。チームワークがうまくできないと、怪我などにもつながるから、とのことでした。

松本:協力隊の人には、今いる若手のチームに加わってもらうことになります。みんな新庄村出身でいいやつやけど、彼らとの相性は大事ですね。林業経験がある人でも、「わし、ようしっとるけ」と勝手に仕事してしまう人は、ちょっと困る。経験の有無よりも、一緒に働くメンバーと協調性をもってやってくれること、やる気でいてくれることが大事ですね。

やっぱり、林業って大きな機械を扱うことが多くて、ちょっと気を抜くと、大怪我になる危険もある。彼らには常に、「怪我して困るのは自分だけではないぞ」と言っています。みんな家族を持っているし、怪我をしたら生活にも支障が起きる。だから、組合が行う安全指導を確実に守ってほしい。その上で、仕事に日にちがかかるのはしょうがないと私は思う。安全第一ですからね。

未経験からの資格取得サポートなどがあるのは、國六株式会社だけではなく、森林組合も一緒。どちらの組織が合うかはその人のキャラクターにもよるので、新庄村まで足を運び、実際に現地で会話をしてみるのがおすすめです。

 

「お前に森を預けたい」と言われる林業家を目指して

就職型だけではなく、すでに他の地域で林業の経験を積み、すぐにでも独立したいという人は、「起業型」として応募する方法もあります。

石藤:就職型も自由ではあるけれど、「こういう仕事をしてほしい」というのは、一応決まっています。起業型は、個人事業主のように、自分で自分の仕事を決めることができる。すでに他地域で林業を経験していて「自分はこういう風に林業にかかわりたい」ってのがある人は、起業型も面白いと思います。どんな生き方、どんな働き方なのかは、その人自身のデザインでいいんです。

例えば、新庄村は380戸のうち120戸が水稲の農家さんなんですが、山を持って半分林業をやりながら、農業もする、なんて生活もできます。或いは自分の山で狩猟をしたっていい。あとは、山との関わり方も、間伐はやらないで保育だけやりたいということであれば、それでいい。仕事はいくらでもあるんだから。

起業型であっても、林業の基礎研修が要る場合には、役場が各事業体と調整し、研修体制をつくることもできます。

石藤:人によって、例えば「1年は林業の修業をしないとね」っていうことであれば、1年だけ就職型をしてもらうってこともあるかもしれないですね。それと、林業経験者であっても、移住されて最初のころは地域の年配の方に山のことを教わったり、関係を持ってもらう機会をつくりたいなと思っているんです。やっぱり地域になじむのは大事だし、相談相手として、村の人を活用してほしい。

ちゃんといい山を育てて、まわりの信頼を得ていけば、「お前に森を預けたい」って人が出てくる可能性もあります。森林組合に頼まずに、作業は個人的にあの人にお願いしよう、って。まわりからの信頼を増やしながら、運営できる山を増やしていってほしいと思っています。

また、地域に移住する上で気になるのが、住環境。仕事があっても住居がなかなかない地域もありますが、新庄村では、民間の空き家との調整を、役場が担ってくれます。現在活動している協力隊は、役場までほど近い場所にあるこうした民家を、月2~3万円で借りています。来年3月に、新しい村営住宅のオープンも予定されています。

初めて林業に携わる人にとっては、仕事で使う機械類の購入についても気になるところ。新庄村では機械購入費を無利子で貸し付けるといった制度があるため、自身でローンを組むといった心配もありません。

石藤:協力隊へのエントリーは、あまり堅苦しく考えすぎずにしてほしいですね。興味を持ってくださっているのであれば、まずは直接会ってお話したいと思っています。そして、この地域の様々なところに足を運んでもらって、ご自身の目で見てほしいです。小さな村ですけど、この村の自然や豊かさを好きになってくれる人と、ともに頑張っていきたいです。

今回は秋に訪れましたが、春には宿場町の街道沿いに桜が咲き誇り、年間15万人もの観光客が訪れる新庄村。「日本で最も美しい村」の1つにも選ばれており、豊かな自然環境を活かして、山々では林業のみならず、森林セラピー事業なども行われています。
将来的には自分の山を持てる場で、心おきなく林業に携わり、自然とともに生きる暮らしを楽しむ。林業に想いを持っている人には、ぜひチャレンジしてほしい機会が、ここにあります。

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