ふるさと納税から始まる厚真町とのつながり

9月6日

「出張中にえらいことになったな…」

部屋を飛び出して、ホテルのロビーで目にしたのはあらゆるものが倒れ、壁のタイルが落ち、天井からは水がしたたる信じられないような光景でした。

私は、このウェブサイトを運営しているエーゼロ株式会社の道上と申します。厚真町から委託を受けたふるさと納税の販売促進のため、定期的に出張で厚真を訪れていました。前日の9月5日も米農家さんを取材し、翌日も何件か生産者さんを周って打ち合わせをする予定。そんなさなかの震災でした。

真っ暗な中、とりあえず避難した車の中で聴くラジオのニュースは厚真町で震度6強(のちに最大震度7に訂正)の大きな地震があったことを繰り返し告げていました。

土砂でふさがってしまった道路

地震発生当日の朝から役場は人手が足りなかったため、私も微力ながらボランティアとして4日間、避難所に寝泊まりしながら物資の運搬や仕分けなどの手伝いに入りました。役場職員の方々が文字通り不眠不休で町民を支える姿は印象的でした。役場職員みずからも家が傾いたり、家族になかなか会えないなどの状況を抱えての奮闘です。間近で接していて、本当に頭が下がる想いでした。

慌ただしく対応にあたる役場職員の方々

厚真の事業者さんたち

役場で炊き出しや物資の手伝いをしているさなかにも、町の事業者さんたちがどうなったのか気がかりでした。
数日たってご連絡がついた事業者の方々からは辛いお知らせが次々と届きました。出荷間際だったとうもろこしが出せなくなってしまったこと、保管しておいたじゃがいもが倉庫内で崩れて傷ついてしまったこと、ハスカップ生産者の方々の畑が一部土砂に埋まってしまったこと、収穫間近の黄金色に色づき始めた田んぼに地割れが起きてしまったこと、水が出ないため生産ができないこと、数々の被害が発生してしまいました。電話の向こうで「当分、出荷は無理そうです」という言葉に無念さがにじんでいます。
取材や普段のやり取りを通じて、どれほど誇りを持って作物を育て、製品を作ってきたかを伺ってきただけに、作物がだめになる悲しさ、出荷できない辛さは想像するに余りありました。

ありがたいことに今回の地震発生直後から、ふるさと納税のご寄附も全国よりたくさんお寄せいただいています。ただ、町内の事業者さんほぼすべてが被災により生産できなかったり出荷ができなかったりしているため、復旧の目途がつくまで一旦ふるさと納税の返礼品は掲載を取り下げ、今現在は返礼品のない災害支援金のみの受付を行っています。

 

ふるさと納税のこれまでとこれから

ふるさと納税は、高額な返礼品や地場産品以外の返礼品を提供する自治体もあるということで賛否を呼んでいます。それは、この制度が、税が控除となりお得な通販感覚でお買い物できる側面に多くの注目が集まってきたからでしょう。
その一方で、寄附の使い道を寄附者が指定できたり、クラウドファンディングのように自治体のプロジェクトに共感した寄附ができるなど、寄附者と自治体が「志」でつながることのできる制度でもあります。

厚真町でも、私たちエーゼロ株式会社が2018年1月からこの「あつまんま」というサイトを立ち上げ、ふるさと納税を通じて厚真町のファンになっていただきたい、寄附金の明確な使い道や熱い生産者さんのことを知っていただきたい、という活動をしてきました。

今回の震災ではおかげさまでたくさんの善意のご寄附をいただいています。私たちはその想いを厚真町の復興への志とつなげる活動をこれまで以上にしていきます。復興はおそらく長期戦です。継続的に厚真のことを気にかけてもらえるような情報発信や出張イベントなどをこれから手がけていきたいと考えています。

そうすることで全国のご寄附いただいた方々により厚真町の人やモノを知っていただき、時々は、町のことが気になるな、厚真のあの人がんばってるかな、また来年も応援したいな、そんな風に思っていただけたら最高です。
私自身、当初は仕事の一環で厚真に足を運んでいる意識でした。繰り返し足を運び、美しい景色に触れ、何より外部の人を温かく受け入れてくれる厚真の人の優しさや懐の深さに触れるうちに、いつのまにか「行く」というより「帰ってきた」という感覚、またあの人たちに会えることが静かな喜びになっていました。しっくりくる言葉が見当たりませんが、来るたびに心が安らぐ特別な場所です。だから、今度は厚真に仕事を通じて恩返しがしたいと個人的にも思うのです。

 

挑戦の火は絶やさない

厚真生まれ厚真育ちの生粋の厚真民、厚真町でふるさと納税を担当する森田さんはこうおっしゃいます。

「子どものころから見慣れていた町の景色が一変してしまった今回の震災は、私自身大変ショックな出来事でした。亡くなられた方々には心からご冥福をお祈りするとともに、改めて防災意識の大切さを感じているところです。
厚真町は挑戦者を歓迎し皆で育む土壌がある町です。地元の農家さんが新しいチャレンジをしたり、町外からローカルベンチャーや新規就農などで厚真に移住してくれた方もたくさんいます。そんな町内のチャレンジャーたちも、今回の震災で家や仕事場が被災するなど、大変な状況にあります。
しかし、私たちはこんな状況だからこそ、挑戦の火を町から消すわけにはいかないと思っています。厚真が再び復興してゆくには新しいチャレンジがとても大切だと感じています。厚真町をフィールドとして選んでくれた皆さんの新たな一歩を応援していきたい。そのためにも、皆さんも一緒に町の挑戦者をふるさと納税を通じて応援していただけたらと思っています。
今は一時的にストップしていますが、返礼品の送付が再開したら町の美味しい特産品を味わっていただきながら、復興を応援してくださったらうれしいですね!」

 

「つながり」を財産に変えて

災害の記憶はどうしても風化する宿命にあります。我が身を振り返ってみても、過去の災害をどれほど記憶にとどめておけたことでしょうか。必要となるのはやはり息の長い支援です。
そのためにも、もしご事情が許すようでしたらふるさと納税でご支援ください。それには、ふたつ理由があります。
ひとつは、災害支援金に関しては各ポータルサイト事業者も、私たち運営委託事業者のエーゼロ厚真も手数料をまったくいただかないので町に全額寄附金が届くことです。自己負担額の2000円を超えた金額分は所得税、住民税が控除されるおまけもあります。
ふたつ目は、寄附していただいた方々の名簿が厚真町役場に蓄積されるので、継続的なコミュニケーションが取れることです。継続的に厚真に想いを寄せていただける、そのつながりが、これからの厚真町にとって、何より大切な財産になることでしょう。

町のふるさと納税をお手伝いする立場の私としても、厚真町のふるさと納税はひと味違う、と思ってもらえる仕事をしていきます。一過性のモノのやり取りに終わらず、知らないうちに好きになってもらえる町、住んでないんだけど気になる町、いつか行ってみたい町、行ってみたらよかった町、寄附した方々にそんなふうに想っていただければと。

厚真町は人口4600人あまりの小さな町ですが、全国から応援してくださる方々の想いが町民の復興への想いとつながることで、未来へと進む力はきっと何倍にもなるでしょう。

ぜひ、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

ふるさと納税を通じた災害支援(ふるさとチョイス)
https://www.furusato-tax.jp/saigai/detail/545

【厚真町の魅力をそのまんま伝える、コミュニティーサイト「あつまんま」】
http://atsumamma.jp/