ビジョンも美味しさも、追求は終わらない。西粟倉村だからこそ届けられる「森のうなぎ」に込められた想いと味わい。

面積の約95%を山林が占める林業の村、西粟倉村。森に囲まれたこの村でうなぎの養殖が行われています。”森”と”うなぎ”という、一見するとイメージの結びつかないこの二つが、資源を活かす循環の中で繋がり生まれたのが西粟倉村のブランド鰻「森のうなぎ」です。

そこには、西粟倉村だからこそ届けられるたくさんの想いと美味しさの秘密が詰まっていました。

 

資源を循環させ、自然と人、人とうなぎのより良い関係を目指す

西粟倉村では、木材加工の際に出た端材の処分に困っていました。温かい場所でよく育つうなぎの養殖には、水温を保つ必要があります。その水を温めるためのボイラーの燃料として、今まで用途もなく捨てられていた端材を活用できると考えたことが、うなぎの養殖に取り組むきっかけとなりました。

その仕組みを基点として、養殖の際に出てくる有機物を含む水を使って野菜を育てて販売するなど、農林水産業の新たな組み合わせにもチャレンジしています。

うなぎの養殖は天然の稚魚を捕獲・育成し販売する事業です。そこにあえて参入していくことにしたのは、人間の活動によって生態系が壊れつつある現状を、中に入ることで少しでも変えていけるかもしれないという思いがあるからでした。人とうなぎの良い関係を再構築するためには、うなぎをどう育てて提供するのがいいだろうか。林業と水産業をつなげて、ぐるぐると循環させていくことを目指しながら、模索を続けています。

とはいえ、背景にどんなに素晴らしいビジョンやコンセプトがあっても、食べてもらうことが目的の養鰻業においては、うなぎ自体がまず美味しくなければ意味がありません。

森のうなぎは、東京・八重洲の老舗の鰻屋「鰻はし本」をはじめ、今では有名店や百貨店に味を認められ取り扱ってもらえるまでになりましたが、美味しいうなぎを安定して提供するに至るまでにはたくさんの苦労があり、今尚試行錯誤を続けていると言います。

エーゼロ株式会社でうなぎの養殖の生産管理を行う長田さんと菊永さん、そして加工を担当する野木さん3人にお話を伺いました。

 

手間を惜しまず、一尾一尾手焼きすることで得られる美味しさ

社内にうなぎの養殖や加工をやったことのある人がいるわけもなく、右も左もわからないゼロからのスタート。そんな状態で最初に作ったうなぎの蒲焼きは、納得のいく品質には及ばないものでした。そこでまず、新卒で入社したばかりの野木さんが、加工の技術を学ぶべくブランドうなぎで有名なうなぎ屋さんに修行に出向くことになりました。(修行のお話については、こちらに詳しく掲載されています。 )

菊永:
最初は機械焼きのできる業者で蒲焼きの外注加工をしていました。ベルトコンベアーでは、うなぎの大小や分厚さや脂ののり具合といった個体差による違いに対応できず、全てが流れ作業になります。それが野木くんの「手焼き」に変わったことで、うなぎ一尾一尾の違いを見極めて、ひっくり返すタイミングだったり細かい焼きの調整が出来るようになりました。手間はかかりますが、その違いは大きく味や食感に影響します。

野木:
均一に火が通るようにすることには特に気をつけています。蒲焼きの作業を実際に見てもらうと頻繁に裏表をひっくり返しているのに気付いてもらえると思うんですが、そうすることでゆっくりと内部に温度が伝わり、脂と水分が身から逃げないので中がふっくらと仕上がります。うちわで仰ぐのも、ムラなく均一に焼き上げるためです。

森のうなぎならではの味わいを引き立てるために、蒲焼きのタレにもかなりこだわっています。当初は既製品のタレを使っていたのですが、色々と添加物が入っていたり、味の相性も良くありませんでした。その後、著名な料理人の方にアドバイスをいただきつつ研究を重ね、森のうなぎに合うオリジナルの美味しいタレが完成しました。うなぎの頭と骨から出る旨味たっぷりのダシを使い、醤油やみりんなど使用している調味料は全て無添加のもので、それを一つ一つ自社で瓶詰めしています。

 

元水族館飼育係が育てた養殖うなぎは、しっかり手をかけられて美味しくなった

野木:
台湾や中国、産地で有名な鹿児島や浜名湖など、国内外の色々なうなぎを食べ比べてきましたが、今の森のうなぎはその中でもトップクラスに引けを取らない美味しく柔らかいうなぎだと思います。脂が程よくのっていてくどくなく、さっぱりとしていて食べやすい。自信を持ってうなぎ屋さんに出せる品質だと感じています。
この事業がスタートしてもうすぐ3年が経ちますが、本当に日々美味しくなっているので、養殖部門を担ってくれている二人の努力の積み重ねによる賜物だと思います。

菊永:
まず、魚の育て方について、養殖のように売るための製品として魚を育てられる人と、水族館のように生き物として魚を飼育できる人って結構違うと思うんです。養鰻としての育て方からすると、森のうなぎは、手をかけ過ぎていると言われるような部分があると思います。小まめに水質を測ったり毎日水槽を清掃するといった細かな作業をたくさん行なっています。それが積み重なって、今の森のうなぎの美味しさに繋がっている気がしています。

養鰻業的には正直そこまでやらなくていいんだけど、うなぎを一年以上育てていく中で、その丁寧な作業が積もり積もって、最後に出荷される活鰻(かつまん:生きたうなぎ)で味を比べた時の違いに現れているんだと思います。

長田:
僕はエーゼロに来る前、水族館で働いていたんです。同じ魚を育てる仕事でも、食べることを目的とした養殖業者になりきれていなくて、自分はまだ飼育係だなと感じます。端的に言うと飼育係は生き物を育てるのにコストや売り上げを考えなくていい。そこまでしなくてもいいのに、ということをある意味やれるんです。
一方養殖業は、基本的にどれだけのコストをかけてどれだけの売り上げを生み出すかという前提で動かないといけないし、それが肝になります。養殖業者はあくまで生産業者であって、うなぎという製品を扱っているんです。

事業としてやっていくのであれば、飼育係のような感覚で生き物として扱うのではなく、うなぎを製品として考えていくことが重要で、まだまだ自分の中で葛藤があります。森のうなぎの美味しさを追求しながらも、どこを抜いて、どう手をかけていく塩梅がベストなのか、日々模索を続けています。

野木:
試行錯誤をしながらも生産管理の二人が美味しいうなぎをしっかり育ててくれるので、良い品質の活鰻をベースに安心して加工に専念することができています。養殖場と加工場がすぐ側にあるところって、あんまりないんじゃないかと思うんですが、生きたうなぎに極力ストレスをかけずに捌きにかかれることも良さだと思います。
廃校になった校舎を改修して、体育館を養殖場に、給食室を加工場にしているので、「水揚げ→加工→袋詰め→発送」と、全ての工程が同じ施設内で完結します。スムーズな業務連携が取れる環境も、鮮度や品質維持に繋がっていると思います。

うなぎの美味しさをもっと楽しんでもらいたい!関東風と関西風の蒲焼きの違い

野木:
食べてもらう方にうなぎの美味しさのバリエーションをもっと楽しんでもらいたいと考え、森のうなぎでは関東風・関西風の2種類の蒲焼きを販売しています。
関東風は蒸しの工程が入ることで、ふっくらととろけるような食感に。関西風は蒸さずに焼くことで香ばしくジューシーな仕上がりになります。
蒲焼きの修行先では関東風の焼き方しか教わっていないので、関西風については大阪のうなぎ屋さんを何軒か回って、カウンターに座って焼いている様子をこっそり観察したりしていました。最初はそれを真似るかたちで試作を繰り返し、試行錯誤の末、納得のいく味を再現できました。

ふるさと納税や森のうなぎのオンラインショップでは「東西食べ比べセット」を販売しているので、二つの違いを楽しみながら味わってもらえたらなと思っています。

 

 

 

価値のないものも工夫し手間をかけることで、付加価値を付けられる

野木:
森林の保全のために山から切り出された細くて曲がった間伐材は、建材としては使い物になりません。そんな価値がないとされていた間伐材も、手を加えて割り箸やユカハリタイルといった製品に加工することで付加価値が生まれます。

うなぎも同じだなと思っていて、森のうなぎで育てているのは「ヒネ」と呼ばれる、育ちの遅いうなぎたちです。育ちの遅さを理由に省かれてしまううなぎをあえて買い取り、手をかけて丁寧に育て、美味しく食べてもらいたいと思っています。価値がないと判断されて捨てられるようなものたちを拾い上げて、みんなで工夫して、価値のあるものにしていく。簡単なことではありませんがとても使命感のあることだし、面白いなと思います。

木材であれ、うなぎであれ、僕たちが大事にしているところや目指しているところは全て同じなんです。

最後に、森のうなぎのこれからについて考えていることがあれば聞かせてもらえますか。

野木:
まだまだ美味しさを追求したいと思っています。養殖や加工、それぞれの面でももちろんですし、お届けするかたちにももっとこだわっていきたいです。
蒲焼きは真空パックをして冷凍をすることで、焼き立ての風味を極力損なわないようにお届けをしていますが、どうしても解凍や温め直す工程を挟むので、焼き立ての食感を完全に再現するのは難しい。なので、いつかは店舗を構えて、焼き立てのとびきり美味しいうなぎの蒲焼きを食べてもらえる拠点を持てたらなと思っています。

「美味しい!」と言って食べてくれる姿は、僕たちにとってこの上ない喜びなんです。


「西粟倉村だからこそ、私たちだからこそ、届けられる美味しいうなぎをたくさんの人に食べてもらいたい。」「価値がないと思われているものでも、きちんと手をかけることで新たな価値を生み、人に求められ、感動を与えることができる。」
森からうなぎ、そして人へとぐるぐるめぐる循環の中には、数え切れないほどの小さな小さな手間と努力の蓄積と、自然環境への思い、食べてくれる人への思いがたっぷりと詰まっていました。
豊かな森と、志を持った熱くて優しい人たちに囲まれて、森のうなぎは今日もゆっくり、のびのびと育っています。

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