岡山県

西粟倉村

にしあわくらそん

西粟倉村の新しい「観光」とは。村民の願いをビジネスに変える「TAKIBIプログラム」が始動!

2021年春から西粟倉村で「TAKIBIプログラム」が始まっています。
これは、2015年から毎年開催してきた「西粟倉ローカルベンチャースクール」の活動を一区切りとして、新たに始まった新事業創出プログラム。
このプログラムで、移住や起業の文脈で注目されることが多かった西粟倉村が今、すでにある「観光」に新たに手を入れようとしています。

どのような動きが始まっているのか、運営事務局である『エーゼロ』の大井健史さんと大谷夏子さん、『あわくらグリーンリゾート』の福島得博さんにお話をお聞きしました。

 

村内から売り上げ1億円以上のビジネスを生み出す

— まず「TAKIBIプログラム」とは何か、教えていただけますか?

大井:「西粟倉ローカルベンチャースクール」は村外からビジネスアイデアを持ち込んで起業する人を育てていくものでしたが、「TAKIBIプログラム」では村の中から出していきたいと考えています。売り上げ1億円以上のビジネスを生み出すために、地域の願いを起点にしながら、さまざまな人を巻き込んで事業を創出します。

具体的には、地域の願いに基づいた事業テーマを予め用意し、そのテーマの専門家やインターン、プロボノ(知識やスキルを活かして貢献するボランティア活動やその人のこと)の方々とブラッシュアップしてプランニングしてから、本格的に実行するプレイヤーとして地域おこし協力隊を用意してスタートします。

— テーマを決めてインターン・プロボノとプランを練り、それから地域おこし協力隊の制度を活用するのですね。

大井:はい。流れとしては①地域の願いを集める、②願いをビジネスアイデアに変える、③アイデアをプランにする、④事業化するという4つのステップを踏んでいきます。2021年7月に、ステップ①と②を進めるための「TAKIBIキャンプ」を二泊三日で行いました。

今回は西粟倉村の「観光」をテーマに進めることになり、役場職員や村内の観光施設を運営している『あわくらグリーンリゾート』さん、村外の専門家など合計18名で話し合いました。

 

エーゼロ株式会社 大井健史さん・大谷夏子さん

 

これから村全体を資源に観光に取り組む

— 実際に直接話し合ってみて、いかがでしたか?

大井:1日目〜2日目のワークショップで、「これから西粟倉村の観光がどうなっていくといいか」という願いについて話し合いました。「どうせ無理だな」という意見があるとしたら、その裏には「あってほしい未来(本当の願い)」がある。そんな仮説のもとワークを進めました。これまで、それぞれが観光にどんな思いを抱いているかを知る機会はなかったのですが、今回新たな発見があって、観光について共通認識を持てたんです。

大谷:村の観光にまつわる歴史をみんなで共有して、「昔はこういうところがよかったけど、今はこういう施設があったらいいな」などとじっくり話すことができました。積もり積もったことを一旦出し切る、いい機会になったと思います。

専門家の方たちにはみんなの願いを汲み取っていただき、アイデア出しのときにサポートいただきました。「こんなことができるんじゃないか」という話ができて、「いいね」「やりたいね」という前向きな雰囲気になりました。

大井:「これまで村の観光を支えてきた『あわくらグリーンリゾート』をはじめ、『百年の森林構想』から派生したさまざまな事業者がいるからこそ、村全体を資源に観光に取り組めるんだね」という声も出ました。いろいろ取り組んできて、要素が点在しているからこそ、ようやく今観光に踏み込める。そこにみんなで改めて気づけたことがよかったと思います。

 

TAKIBIキャンプ当日の様子

 

これからの観光について本音で話し、アイデアを結集

— ここからは『あわくらグリーンリゾート』の福島得博さんにお話をうかがいます。『あわくらグリーンリゾート』は、『道の駅レストセンター あわくらんど』やバイキングレストラン『あわくら 旬の里』、温泉施設『湯〜とぴあ 黄金泉』などの村有の観光施設を委託運営する会社ですね。

大井:はい。少し補足させていただくと、各施設を合わせて約5億円の売り上げがある、村内の大きな会社です。2013年に設立され、約50名の従業員がいらっしゃいます。今回テーマが観光になったのは、今ある観光施設のほかに、ここ数年で開業したお店が多数あり、新たな資源や見直すことで活用できる資産もあり、それらをつなげ観光を盛り上げることで未来を開拓できる可能性を感じたからです。

福島さんは西粟倉村出身で長らく観光施設に勤めた後、2020年11月から2022年3月までの予定で、人材交流もふまえて現在『エーゼロ』に出向しています。「TAKIBIキャンプ」にも参加しました。

福島:「TAKIBIキャンプ」の参加前、『あわくらグリーンリゾート』をはじめとする村の観光がどう方向づけられるのかに興味があったんです。問題点をどう改善したらいいのか、どう物事を見ていくのか、というところから話し合いが始まりました。みなさんの意見が飛び交って本音で語り合うなかで、バラバラだった見解が徐々にまとまり、課題や問題が浮かびあがっていったんです。その流れに期待を感じました。

 

株式会社あわくらグリーンリゾート 福島得博さん

 

— これまでの観光について、どのような課題があったのでしょうか。また、今回印象的だったのはどういうところですか?

福島:これまでは、村有の観光施設という特性上、経営に関して融通が利かなかったり、方向性が定まらなかったりするところはありました。社内でも観光に対して、大きなチャレンジやPDCAサイクルが欠けていた部分があったと思います。

また、これまでは鳥取など近隣の観光地へ行く人たちにバスツアーで立ち寄っていただくことが多く、主に目的地までの中間地点としての役割をこなしている状態に、もどかしさは感じていたんです。さらに新型コロナウイルスの流行で、目的地でなければ人は来ないことがより浮き彫りになりました。

今回、みんなそれぞれに観光に関する考え方があって、それを裏表なく本音で話し合い、アイデアを結集させ、具体的に前進できたことが衝撃的でした。どう盛り上げていくか、外部の専門家のご意見もふまえて話し合いができ、新しい風が入ったように感じました。

『あわくらグリーンリゾート』としては多くの可能性が可視化できた反面、実現する難しさも感じていますが、こういう話ができたことで真剣に物事を考えるメンバーが揃ったと思います。一社ではできなかったことができるようになると思いますので、村全体で盛り上げて相乗効果が出ればいいなと。関係人口を含めた人口増加をはかりたいです。

道の駅「あわくらんど」

 

森を軸にした観光業。統合コンセプトも定めたい

— 今後はどのような予定なのでしょうか。

福島:「TAKIBIキャンプ」で「村の観光の統合コンセプトを定める必要がある」と決まりました。現在は『あわくらグリーンリゾート』やローカルベンチャーの方々、それぞれがやりたいことをやっている状況です。それらを統合して、マネジメントできたらいいのではないかという話になっています。また、現在は近隣の外部の加工品を販売しているので、観光施設で販売する西粟倉村産の新商品をつくっていけたらいいですね。

村の出身者としても『あわくらグリーンリゾート』の社員としても、村が新しいものとどうなじんでいくのかを重視していきたいです。温度差があればそこをつなげていく仲介役が要ると思うので、それになれるよう努めたいと思っています。

大井:「TAKIBIプログラム」では、今後も村内からテーマを見つけ「TAKIBIキャンプ」を行っていきます。次回は11月末に、「西粟倉村のお年寄りの方が定年後もいきいきと働くことのできるビジネス創出」をテーマに実施する予定です。テーマを見つける段階、アイデアをつくる段階では、西粟倉村の方々のお話をうかがいたいです。どうぞよろしくお願いします。

大谷:アイデアが見えてきた後は、試行錯誤を繰り返しながら、一緒にビジネスプランをつくってくださるインターン・プロボノの方にも関わっていただき、事業を形にしていけたらと考えています。今後発信していくビジネスアイデアを「おもしろそう!」と思ってくださった方と村のご縁をつくれるようにしていきたいです。

【西粟倉村で新たに始まった「TAKIBIプログラム」についてはこちらから】http://throughme.jp/idomu_nishiawakura_sdgs_04/

 

【西粟倉村役場】

・住所:〒707-0503 岡山県英田郡西粟倉村大字影石33-1

・ホームページ:http://www.vill.nishiawakura.okayama.jp/

 

【エーゼロ株式会社】

・住所:〒703-0503 岡山県英田郡西粟倉村大字影石895

・ホームページ:https://www.a-zero.co.jp/

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