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厚真町LVS2017最終選考会。
ワクワクを胸に、未完の大地を開拓せよ!

厚真町ローカルベンチャースクール(LVS)」の最終選考会が2017年11月25日に行われました。最終選考会には一次選考を通過した3名に加え、「厚真町ローカルライフラボ(LLL)」の参加メンバーも。最終プレゼンテーションの結果は、果たして!?

 

涙の理由。会社と役場と個人の狭間で。

LVSの一次選考会から1ヶ月余り。再度厚真町にLVS参加者とメンターチームが集結し最終選考会が行われました。採択されるためには、前回指摘された課題をクリアし、どれだけ事業プランをブラッシュアップできたかが問われます。

最初の発表者は、地域おこし企業人として厚真町に赴任して2年半になる小松美香さん。彼女の事業プランは、「食卓を囲む『家』をつくる」をテーマにした、古民家の民宿・カフェの提案です。最終選考会では、新たに地域住民や観光客を対象にしたヒアリング結果を裏付けとしながら、カフェを活用した事業として毎月定額で夜ご飯を提供するプランや、厚真で多く栽培されている大豆を使った味噌・しょうゆ造りのワークショップなどを提案。民宿・カフェを通じて「第二のふるさと」を作る構想を発表しました。

厚真町で生活しながら新しいチャレンジを模索する小松美香さん

プレゼンを終え、チーフメンターの勝屋久さんからは「前回よりプランが整理された」と評価された一方「やらなきゃいけないこと(must)とやりたいこと(want)が小松さんの中で混在しているから、窮屈なアイデアしか出てこない」といった厳しい意見も。すると、小松さんは、「会社」「厚真町」「自分自身」の3つの立ち位置が重なり、突き抜けられないもどかしさと苦しさを抱えていたと吐露。自分の本当の気持ちと、複雑な環境とのギャップにより生まれた心のきしみは涙となってあふれ出ましたが、発表後の表情は晴れやかなものとなっていました。

 

最終プレゼンで、まさかの就職宣言!?

続いては、岐阜県から参加した鈴木守門さん。”ゴリさん”のニックネームもすっかり定着しました。

前回は「株式会社ゴリ林業」を立ち上げ独立する事業プランを語り、計画の改善点を指摘され、練り直しを誓い臨んだゴリさん。最終プレゼンで語られたのは、なんと町内の林業会社への就職宣言でした。

熱気に包まれた最終選考会プレゼンテーション

就職を希望する林業会社の社長も同席する中、彼が語ったのは、「山暮らし」への想い。ファッションバッグメーカーでの海外勤務中に東日本大震災が発生し、何もできなかった反省から「生きる知恵や技術を、生身の体で習得したい」と考えるようになったこと。会社を辞めて35歳で岐阜県にある林業専門学校に入学したこと。仕事を通じて習得した生きる技の数々を、次世代に継承していきたいという夢を熱く語りました。

 

明日の「糧」となる観光学習プログラムを確立したい

LLLにエントリーし、一次選考を通過していた北海道在住の竹内瑞穂さんは、明確な事業化したいプランを持っていたため、最終選考会直前に、急遽LVSへの参加に変更しました。

「厚真でやりたいことが溢れてくるんです」と話す竹内瑞穂さん

竹内さんの事業プランは「家族のやりたいことが見つかるツアー」。北海道の京極町で13年に渡り運営してきた学習塾での経験から発案した、子どもたち自ら「やりたいこと」を見つけるための観光学習プログラムです。

具体的には、厚真町を訪れた小中学生と家族を対象に、プログラムを通して子どもたちの「気持ち」を引き出し、数学を英語で学ぶTalk  Mathsなどユニークな学習プログラムを実践することで成功体験を積み重ねます。

「経験上、勉強が嫌いな子どもはいません。解けなかった時の悔しさやばかにされた記憶、強制されたときの気持ちが勉強と結びついているだけなんです。モチベーションの高い状態で学習をすれば結果が変わります。子どもたちには実体験を通してそのことを伝えていきたいです」と竹内さんは語りました。

 

結果発表。そして、始まるそれぞれの厚真ライフ。

竹内さんは、実は最初のプレゼンテーションでは不採択だったものの、準備期間が短かったこともあり、特例としてメンターによるメンタリング後、再プレゼンテーションを行い、晴れて採択となりました。

 

真剣にエントリー者に向き合うメンター陣

「1回目の発表では、想いが理解してもらえないのではという不安に駆られ、自分でも驚くくらい緊張していました。その後、メンターの方が、感情論一辺倒の私の話を論理的に解きほぐし整理する過程が見事で、なんだか気持ちがよかったですね。おかげで2回目は、やりたいことをしっかりと伝えることができました。

地域おこし協力隊として採用されないので、採択されても金銭的なメリットはありませんが、審査員のみなさんのお墨付きをいただいたことで自信を持って事業を始められるし、LVS採択者という肩書きがあれば町内の方々の信用度も違うと思います。もう、じっとしてられません!プログラムシートを磨き上げるため、さっそく動き出そうと思います」。

落選してしまった小松さんは「私の迷いをメンターのみなさんに見抜かれてしまった、というのが正直なところです。一次選考会で、自分がやりたいことをもっと表に出していいと教えていただき、気持ちがスッキリしたものの、依然として会社と町役場と、個人としての立場の中で、どうしたら良いか分からないままでした。ただ、誰かが答えをくれるわけではないし、自分で解決しなければ前へ進めないこと。その覚悟が足りなかったんですね。だから、今一度自分がやりたいことを整理して、会社に相談してみます」。

勝屋さんはいいます。「小松さんの厚真LOVEの想いは十分に伝わりました。あとは小松さん自身がどこまで本気になれるか。可能性を感じるので、ぜひ来年のLVSにチャレンジしてほしいですね」。

 

悩んだ末に厚真町での就職を希望した鈴木朱守門さん

ゴリさんは最終的に起業ではなく就職の道を選びました。

「一次選考会の後、自分には何ができるのか、どんな事業が可能なのか。考えて、もがいても分からない状態が2週間ぐらい続きました。結局、誰かの困りごとを解決することからプラン設計をスタートしても、本当に自分がやりたいことにはつながらないんですね。仮にそれが見つかったとしても、困りごと自体が単に自分にとって都合のよい仮説かもしれない。誰かを介してではなく、自分発信でやりたいことが見つかるまでは、事業プランを立ててもウソにしかならないと思ったんです。それには自分には圧倒的に経験値が足りない。メンターさんからも言われました。自分をさらけ出せって」。

ゴリさんは最終選考会を前に林業会社へ履歴書を提出しました。たとえ意中の会社に就職できなかったとしても、町内に住み、林業の仕事に携わりたいとゴリさんはいいます。

 

 

LVS・LLLを担当する厚真町役場の宮さんは事業をこう振り返りました。

「LVSという場が昨年と同様に、参加者が自身の未来と向き合い、殻を破るようなブレイクスルーの場になっていることを再認識しました。その過程は時に苦しく、一人だけでは難しいこともありますが、伴走するメンターがいて、共に葛藤する仲間がいることで、超えられることもあります。このLVSの場は、合否が出る物ではありますが、それとは別に自分の軸に向き合うことができる、貴重な場として参加者の皆さんにこれからにとって価値あるものになれたなら、とても嬉しく思います」。

地方創生の流れの中で、日本各地でローカルベンチャーを求める動きが広がり始めています。地域では、人口減少が進む一方で、これまで諦めがちだったチャレンジや、想像もしていなかったような事業を応援する環境ができつつあることを実感します。

昨年に引き続き、今年のLVSで感じたことは、「最も大切なのは、自分の想いと繋がること。自分の想いを基点に周りを巻き込んでいくこと。そして、受け止めてくれる周りの人々がいること」。厚真町のプログラムは、参加者自身の本当の気持ちに気づき繋がるために、メンターだけでは無く参加者同士も支え合いながら進んでいく大きな舞台装置です。

100年前の開拓民が厚真町を開拓したように、今年採用されたローカルベンチャーのメンバーが、厚真町の地域の人たちと共に、次の100年に続く厚真町を創っていく。そんな世界が楽しみでなりません。

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