岡山県

西粟倉

にしあわくら

いよいよ挑戦の切符がその手に!『西粟倉ローカルベンチャースクール2015』最終回レポート

『西粟倉ローカルベンチャースクール2015』(以下ローカルベンチャースクール)は「西粟倉に移住してみたい」「起業してみたい」という人々のために開かれたプログラムです。参加者は、西粟倉村が採用する「地域おこし協力隊(起業型)」を目指し、「西粟倉村に来て実現させたいこと」を全3回のローカルベンチャースクールで西粟倉村に触れて、関わって、知って、磨きあげていきます。

泣いても笑っても叫んでも、「地域おこし協力隊」の座を賭けたローカルベンチャースクールがいよいよ最終回です。さて、最終回にエントリーした挑戦者候補は、前回から引き続き、帽子女子、木のおもちゃ職人、狩猟男子。このうちの誰がこの村に請われる起業家となるのでしょうか。

 

いよいよ最終回!史上最多の参加者で迎えた12.05

まずはおさらい。西粟倉村の採用する「地域おこし協力隊(起業型)」は、地域おこし協力隊でありながら自分がやりたいことで地域起業ができるプログラムです。「定住しなくていいんです」、そして自分の力で自分の好きなことをやってイイヨ!と言い放って、村をあげてそのサポートをしようというのが西粟倉村です。なぜそんなことをできてしまうのかというと、『百年の森林構想』の概形に沿って、行政と民間で仕事の切り分けと協力体制ができている希有な自治体であるからです。西粟倉村は、未来に向かうための必死さと、新しい価値観を持ち合わせています。ローカルベンチャーたちは自分たちの好きなことを一生懸命やって、それが村の多様化に繋がり、またその豊かさを村が認める、そんな幸せな相思相愛関係から、この生態系が生まれています。
 

過去2回のプレゼンテーションを経て、いよいよ今回のローカルベンチャースクールで2016年4月から西粟倉で採用される地域おこし協力隊が決定します!

会場のあわくら温泉「元湯」には、新たな挑戦者誕生を見守らんと、村内・村外問わずたくさんの人が会場に詰めかけます。ローカルベンチャースクールも3回目になると挑戦者候補たちに情がわいてくるのか見守る参加者たちの顔が完全に親戚のそれになっています(笑)

まず第一部は、ベンチャー起業・諸先輩(超ビックネーム)のゲスト講師陣によるプレゼンテーションを伺います。今回はローカルベンチャースクール“言い出しっぺ”の牧大介さん(森の学校ホールティングス代表取締役)と縁深いお二方の登場です。
 


トップバッターは株式会社Hanoi Advanced Lab(HAL)の代表取締役社長、佐藤道明さんです。西粟倉村によく足を運んでくださっていることから、村民からも「道明さん!」と親愛を込めて呼ばれている、西粟倉村でも屈指の愛されベンチャーさんです。

HALは「モノ創り」のプロが集まり、チームとして仕事をすることにより、「次の世代に何かを残していきたい」という理念のもと、最適なシステム開発・運用を行なっている会社です。道明さんがどのように、会社を想い、そして仕事をしているかを丁寧にお話いただきます。
 


そしてお2方目は、三重県尾鷲市の夢古道おわせ・夢古道の湯支配人、伊東将志さんです。尾鷲生まれの尾鷲育ち、尾鷲を愛し、尾鷲に生きる伊東さんが運営するまちづくり会社を通じて、地域で生きることを語ります。この語りがまためちゃめちゃ面白い!というか、よくここまでへこたれずにやってこられましたねとハグしてしまいそうなほどの万丈波乱なまちづくりストーリーに会場からは拍手喝采。また尾鷲市は西粟倉村と同じく森林のまち。過疎から立ち上がる物語は胸が熱くなる共感ストーリーでした。
 


勝屋久校長先生の共感型プレゼンテーションはゲスト講師におまかせ。いつものカッチャマン節が聞けなくて寂しい☆

しかし、校長先生の、プレゼンテーションへの感想には、地域で働くためのヒントをふんだんにちりばめ、愛溢れるコメントが印象的でした。挑戦者候補たちの最終プレゼンテーション審査にむけて、校長先生も高まっています。
 

最終プレゼンテーション

第二部は、いよいよ挑戦者候補たちの最終プレゼンテーションです。第1回から磨き上げてきた事業計画を発表します。2か月前にはじまったローカルベンチャースクールですが、思い起こせば、幼稚園をやりたいひと、新しい建築を試したいひと、新たなヴィレッジを形成したいひと、アイスクリーム屋さんをやりたいひと、など数あまたの起業モデルがここで発表されました。そのアイデアはすべて「西粟倉でやりたいこと」です。人口1500人の小さな村に、かつて、若者が「自分の好きな事をここでしたい!」とたくさん手を揚げたことはあったでしょうか。いや、ない(ノリツッコミ)。このスクールは、そんな希望をこの西粟倉村自体にもたらしました。

最初は「余所者」だった挑戦者候補生たちはローカルベンチャースクールで、己をさらけ出すようなプレゼンテーションを経て、自分のやりたい事が磨かれていきました。参加者も、彼らの事業計画に愛着を持って見守ります。会場から「がんばれー」と声がかかる場面もあるなどすっかり挑戦者候補生も「西粟倉の子」です。これもローカルベンチャースクールの狙いのひとつ。土地を知り、人を知り、つながること。これが起業で大切なことのひとつであると、校長先生もよくおっしゃっていたことです。
 


トップバッターは毎度「こんにちぼうし!」という挨拶からはじまるかわいい帽子屋・山口千夏さん。現在、福島県いわき市で「帽子屋UKIYO」を営んでいます。移住を機に西粟倉村でも帽子屋として起業したいと考えています。

3回目となる今回のプレゼン。3回とも見ている私として一番感動したのは、その堂々たるプレゼン姿です。初回の山口さんは、あなたはなにに怯えているの、まるで迷子のキツネリスのよう的緊張感がこちらまで伝わってくる、手に汗握るプレゼンでした。しかもプレゼン資料のPDFがページ毎にバラバラだったので、大きなプレゼン用のプロジェクターの画面内で1ページ毎にページを開け閉めしていたのもいい思い出です(笑)。

「帽子屋をやりたい」から「西粟倉村で帽子屋をやっていくため」に変わったプレゼン。ああ、こんな帽子屋さんがあったら、暮らしがとても豊かになりそうだな、と印象づけました。

そして驚いたのが、第1回でゲスト講師だった株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング代表取締役社長の中山亮太郎さんを通じて、『Makuake』でクラウドファンディングをはじめる手筈を整えたことです。もう、起業への一歩を確実に歩み始めています。

現在クラウドファンディング中!
「カワイイから被せたい!キッズ帽子ブランドUKIYOを広げたい!」
https://www.makuake.com/project/ukiyo/
 


そして、西粟倉村内に潜伏して早ンヶ月。西粟倉村民として定着しつつある「まっちゃん」こと松原圭司さん。すっかり森男子になりつつあります。ジビエ狩猟の起業を目指しているぴちぴちの25歳です。え、そんなに若かったの。

彼のプレゼンも3回のローカルベンチャースクールを経て、ブラッシュアップされていきました。第1回「獣害対策としての狩猟」→第2回「マネタライズできる狩猟の仕組み」→そして第3回は…「ジビエレストランを開きたい」。

ンっ???!??!?!?(会場中の心の声)
「ぼく、実は料理が好きなんです。みんなが食べにきてくれるようなお店をやりたいとこの1か月で思い出しました。なので、ジビエレストランを西粟倉村でやりたいと思います。あと、先日いい鹿の肉が取れたのでみなさんの前で解体したいと思います」

自由か!だが、それがいい。私はここで「柔軟さこそ武器」と思いました。状況がめまぐるしく変わる地方地域で、好きなことを一生懸命やっていくための必要な素養であると。しかし、変わり過ぎやでしかし。狩猟のシステムからまさかのジビエレストラン店主への華麗なる転身。もう産業分野からちゃうでしかし。

その理由を訊いてみると「僕の根幹にあるのが「食」への関心で、狩猟に足を踏み入れたのも「ジビエ猟師」と「食」リンクしたからなんです。そして、今回のローカルベンチャースクール参加でハッキリと学び得たものは、「俺は旨い飯のためになら頑張れる」っていう本音。俺は「食」を通じて狩猟、獣害に向き合っていくぞ。という意思、姿勢。です。なので、やること目線でいうと大幅な変更があるように見えますが、「何」を通じて狩猟、獣害に向き合うか。が3回の参加によって精錬された。ということが僕にとって重要なのだと思います」・

なんという…!(感涙)
ローカルベンチャースクールがあったからこその学びや気付き。最終回という場で答えを出せた松原さんは、とてもいい顔をしています。
 


そしてプレゼン会場に突然現れた鹿肉。会場中「美味しそう〜」と溜息が漏れるほど、美しい肉質です。
 


美しい鹿肉を美しい技術で美しく捌いていく松原さん。ローカルの名にふさわしい、リアルなプレゼンテーションでした。

笑いあり、驚きあり、感動あり、挑戦者候補生たちの最終プレゼンテーションが終わり、いよいよいよいよ、「挑戦者」の切符が手渡される若者が決定します。
 

ローカルベンチャースクールが生んだ新しい生態系

 

審査は、西粟倉村役場の産業観光課長、上山隆浩さん。同じく総務企画課長、山下英輔さん。今回ゲスト講師だった、佐藤道明さん、伊東将志さん。そして勝屋久校長&祐子副校長、牧大介さんの7名で行ないます。

プレゼンの総評からずばり、挑戦者候補生ひとりひとりの評価を述べ合います。

印象的だったのは、最終決定権を持つ村役場の上山さんと山下さんの優しい笑顔です。上山さんは「みんな合格させてあげたい」と言い、山下さんも「ここまで来るために頑張ってきた姿を見てきているので、基本的には採用してあげたい」と苦笑い。この村で汗をかいてくれようとしてくれている。それがちゃんと伝わったから我々も応えたい。行政職員の心を動かす力はきっとこういうことだと、その尊さをこの場で見て、感動してしまいました。

さあ、いよいよ、最終発表です。

2016年度西粟倉村「地域おこし協力隊(起業型)」の座を手に入れたのは…
 


松原圭司さんです!

事業における「本気度」そして、この村の根幹である「諦めないこと」ができる、そんな松原さんが選ばれました。

しかし、審査の時間をオーバーしてしまうほど、この結論に至るまで相当の議論を擁しました。
 


それは、山口さんの存在があったから。この2人のどちらを選ぶかが最後の議論でした。それだけ山口さんの提案がすばらしく、そして山口さん自身も魅力的だったからです。山口さんは起業有無関係なく西粟倉村に移住予定なので、彼女がクラウドファンディングなどを通して帽子屋さんとして起業をすすめ、その経過次第で「地域おこし協力隊(起業型)」としての採用を検討する「地域おこし協力隊(起業型候補生)」になりました。
 

ローカルベンチャースクールは大団円。来年度も西粟倉村のローカルベンチャーの生態系は豊かに、そして賑やかになりそうです。
 


そして最後に。
勝屋久校長先生、祐子副校長先生、ありがとうございました!

【おまけ】
翌日、松原さんが第2回のローカルベンチャースクールで狩猟活動のドネーションをいただいた人々を自宅に招いて、自らしとめて捌いたジビエを振る舞いました。
 


 

ジビエレストランを開くといったのも伊達じゃない。抜群の鮮度で処理されたジビエたち。
 

松原さんの起業によって、こんな笑顔が増えたら良いですね。

(了)

メールマガジン

いきるが、ひろがる。Through Me Magazine をお届けします。